パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ジェニンの難民キャンプにあるランドマークのモスク(イスラム礼拝所)とその周辺では、西岸で急増する暴力行為が頻繁に起きている。
イスラエル軍による急襲は増えており、パレスチナ人も抵抗する。過去の殉教者の肖像は新たな殉教者のポスターで次々と覆われる。数十年続く両者の衝突は、ガザ地区でのイスラム組織ハマスとイスラエルの今回の戦争によりさらに激しさを増している。
「モスクで葬儀があると、一般的には愛や思いやり、平和についての説教が行われる」とモスクの指導者であるイスマイル・ジャラダト師(53)は話す。
「時には、死とそこから教訓を得ることの大切さについても話す」
モスクでは取材当日、殺害された武装勢力の戦闘員3人の葬儀が執り行われていた。
ハマスによる10月7日の奇襲で、イスラエル側では民間人を中心に1200人が死亡。これを受けてイスラエル側も激しい報復攻撃を続けており、西岸への侵入もエスカレートさせている。
ハマスの保健当局によると、ガザ地区では、これまでに1万3300人以上の死者が出ている。一方、西岸のパレスチナ当局は、犠牲者が150人以上に上っているとしている。西岸は1967年以降、イスラエルに占領されている。
国連(UN)によると、ジェニンの難民キャンプでは約2万3000人が生活している。このキャンプは、長年にわたってイスラエルの占領に対抗するパレスチナ武装勢力の温床だと考えられてきた。
(中略)
■非情の心
1948年、イスラエル建国宣言を受けて起きた第1次中東戦争で、国連によると約76万人のパレスチナ人が追放された。この事象はアラビア語で「ナクバ」と呼ばれ「災厄」の意味を持つ。現代の衝突は、このナクバにさかのぼることができる。
最近、ジェニンの住民イブラヒム・アルダムジさん(43)は、10代の息子を含む子どもたちを連れてキャンプを出た。
ガザでの衝突開始以降、キャンプでは暴力行為が横行し、武装勢力へと引き込まれやすい環境になっている。
「何が起きてもおかしくない」「家族が拘束されたり、殺害されたりするのを目の当たりにすれば、それが武装勢力に参加するきっかけとなり得る」
キャンプの別の住民、モハンマド・オベイドさん(33)は、爆発で飛び散った破片で穴が開き、血で黒ずんだほこりっぽい建物外壁を指し示す。
「今のキャンプの子どもたちは、ここで目にするものによって、早ければ3、4歳で非情の心を持つようになる」
https://www.afpbb.com/articles/-/349128...
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