和牛の冷凍牛肉約30トン(2億数千万円相当)の輸出先をカンボジアと偽って香港に輸出したとして、福岡県警が、
福岡市早良区の貿易会社の代表を務める中国籍の男ら3人を関税法違反と家畜伝染病予防法違反の疑いで逮捕したこと
が捜査関係者への取材でわかった。世界的な「和牛ブーム」による需要増を背景に、輸出先の偽装で通関にかかるコス
トを抑える狙いがあったとみられる。
実際は香港に
捜査関係者によると、3人は2023年、冷凍牛肉約30トン(申告価格約2億数千万円)を船で輸出する際、輸出
先は香港なのにカンボジアと偽って門司税関(北九州市)に申告し、香港への牛肉輸出時に必要な輸出検疫証明書の交
付を農林水産省動物検疫所から受けなかった疑い。香港は経由地として申告していたという。
同検疫所や厚生労働省によると、日本は香港と牛肉を輸出する条件を規定。衛生基準が厳しく、香港向け牛肉の解体
・加工の作業ラインをその他の肉と区画した同省による認定施設で処理する必要があり、微生物などに関する検査項目
も細かく指定されている。一方、カンボジアへの輸出は認定施設での処理や食肉衛生証明書の提出も不要で、出国時の
通関手続きが比較的緩いという。
香港向け牛肉の認定施設は国内に14か所しかなく、捜査関係者によると、3人は同施設で処理していない牛肉を調
達していた。輸出先の偽装でコストを抑え、煩雑な手続きも回避する意図があったとみられる。
「和牛ブランドにとって損失」
和牛(牛肉)の輸出先を偽装する事件は、畜産王国・九州に限らず各地で起きている。識者は「消費者の信頼を失う
恐れがあり、和牛ブランドにとって大きな損失だ」と懸念する。
貿易統計や農林水産省によると、2024年の牛肉輸出量は1万トン、輸出額は648億円で、いずれも10年前の
約8倍となった。弘前大の石塚哉史教授(食料経済学)は「アジアの富裕層など海外マーケットへの期待は大きい」と
話す。
一方で、輸出先をカンボジアと偽った香港への不正輸出は近年続いている。神奈川県警は23年2月、横浜港から牛
肉を不正に輸出したとして、中国籍の男らを逮捕した。兵庫県警は昨年5月、「神戸ビーフ」などの輸出先を偽ったと
して、男女4人を逮捕した。
続く
https://news.yahoo.co.jp/articles/6db27b25a853cabda8abf...
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