韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り、高官犯罪捜査庁(高捜庁)と警察で作る合同捜査本部は15日、内乱容疑で尹氏を逮捕した。
韓国メディアが報じた。大統領は憲法で不訴追特権が保障されているが、内乱罪は例外となっている。
捜査当局は3日にも逮捕を試みたが失敗していた。韓国の現職大統領が身柄を拘束されたのは史上初めて。
高捜庁は尹氏による戒厳令の宣布について「職権を乱用し、憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした」疑いがあるとし、尹氏を内乱の「首謀者」とみている。
尹氏は高捜庁の庁舎で事情聴取を受けた後、ソウル拘置所に移送される見通し。
高捜庁は尹氏に3度出頭要請したが、尹氏が応じなかった。このためソウル西部地方裁判所から逮捕状の発付を受けて3日、大統領公邸の敷地内に入り、尹氏の逮捕を試みた。
だが尹氏を守る大統領警護庁の要員らに阻止されていた。
警護庁はその後も、公邸の周囲に鉄条網を敷くなどし、尹氏の逮捕を阻む構えを見せ、高捜庁の逮捕状執行を支援する警官隊との間の衝突が懸念されていた。
一方で、警護庁幹部の間で今後の方針を巡り対立が起きているとの報道も出ていた。
尹氏の弁護団は、高捜庁には捜査権がないと主張。
逮捕状は「不法であり無効だ」として逮捕に応じられないとの立場を取っていた。
尹氏は2024年12月3日夜、政府提出の予算案の一部を減額したり、検察官らを繰り返し弾劾したりする野党の行為を「内乱を企てる反国家行為だ」と非難し、戒厳令を出した。
特殊部隊の一部が国会議事堂に乱入したが、国会は混乱の中で戒厳令の解除を要求する決議を可決。
憲法に基づき大統領は従わねばならず、尹氏は同4日未明に戒厳令を解除した。
国会は同14日、尹氏に対する弾劾訴追案を可決。尹氏は大統領の職務停止に追い込まれた。
だが「野党の議会独裁に対抗し、韓国の自由民主主義と憲政秩序を守ろうとした」と述べ、戒厳令宣布を正当化。
弾劾訴追や捜査に「堂々と立ち向かう」と徹底抗戦する意思を表明していた。
戒厳令宣布の際に国会の特殊部隊を指揮した軍幹部らは、尹氏から電話で、議員を議場から排除するよう指示されたと証言している。
高捜庁と共に捜査をする警察は尹氏の携帯電話の通話履歴を押収し、解析を進めていた。
弾劾訴追を巡っては、憲法裁判所が国会での弾劾案可決から180日以内にその是非を判断する。
憲法裁が妥当だと判断すれば、尹氏は失職。60日以内に後任を決める大統領選が実施される。
憲法裁が訴追を妥当でないと判断すれば尹氏は大統領の職務に復帰する。【ソウル日下部元美】
https://mainichi.jp/articles/20250114/k00/00m/030/...
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