「壁に耳あり」とは、医科大学の解剖実習にまつわる都市伝説の1つ。
とある医大の系統解剖実習中、実習に飽きた医大生が献体の耳をそぎ落とし、
タイルの壁に付け「壁に耳あり」と言ってふざけた。
その後この医大生は不謹慎であるとされ、退学処分になった。
話のバリエーションとして「この医大生が今、高名な医学者の○○先生である」とするものや、
「学生の緊張をほぐすために教授自ら行った」とするパターンも存在する。
この逸話は多くの大学で語り継がれており、養老孟司も南伸坊の著書『解剖学個人授業』
で触れているが、真偽のほどは定かではない。
同種の話には、耳に水を注ぎ「寝耳に水」[3]、「両手に鼻(花)」、
切開した胸に手を深く入れて「のどから手が出る」、
献体の眼球をくり抜いてドアに当てて「障子に目あり」、
口を縫い合わせて「死人に口なし」、手足を切断して「手も足も出ない」などがある。
これらの行動は一般論として死者の尊厳を冒す行為でもあることは言うまでもなく、
解剖に自分を捧げた死者、ないし家族を捧げた遺族の意思を踏みにじる行為でもある。
小説家の羅門祐人は昔医学生だったことがあり、解剖体験記の中でこのことを
事前に教授に厳しく注意されたエピソードを紹介している。
また、白菊会(医学および歯学の発展のため、死後に自分の遺体を解剖学の
実習用教材となる事を約し、遺族が故人の意思に沿って医学部・歯学部の
解剖学教室などに提供する「篤志献体」の組織)の中でも半ば真実として扱われ、
会報や講演会で触れることもある。
人によっては真実と考えられており人々の間で語り継がれているが、
山口敏太郎などによってこの話は都市伝説、つまり話は人々の間に広まっているものの、
話の内容は事実ではない、と指摘されている。
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