【デマ その1】:「斎藤知事は港湾利権にメスを入れたことによって、闇社会とそれに追随するマスゴミに潰された!」
【真相】
この陰謀論の根拠となっているのは、23年3月31日の『兵庫県公報』で公表された
『令和4年度 包括外部監査結果報告書 テーマ 港湾事業に関する財務事務の執行及び事業の管理』であり、
この345ページに及ぶ報告書の中には、兵庫県が管理する姫路港や尼崎西宮芦屋港など28港や県民局・県民センター、
さらに「ひょうご埠頭」と「新西宮ヨットハーバー」という外郭団体の「問題」が指摘されている。
例えば、こんな感じである。
「法の求める趣旨を十分に理解しないまま行われている事務や、過去の意思決定を踏襲し、
その意義や目的について十分な検討が行われていない事務などが数多く発見された」(113ページ)
ちなみに「監査」が入り、問題が指摘された県民局には、知事の「パワハラ」を告発した後に
亡くなった職員が局長を務めていた西播磨県民局も含まれている。
そのため、「斎藤知事=ヒーロー説」を唱える人々は、このような港湾事業の「闇」を明らかにした報復として、
パワハラ疑惑が捏造されたと主張している。
だが、行政に関する知識があれば、これはおかしな話だとわかる。
自治体の包括的外部監査は、確かに知事と外部の公認会計士などが契約を結んで行われるが、
知事の「指示」や「意向」が反映されるものではない。
今回の監査で港湾事業を対象に選んだのは、あくまでも外部の監査団体側だ。
むしろ、知事は「監査される側」であり、
「こんな(港湾の)問題があることに気づかなかったとは、あなたの目は節穴ですか?」
と指摘された立場に過ぎない。
「任期中に、たまたま港湾事業が監査対象になった」だけだ。
加えて、斎藤知事は21年12月の知事就任直後に、外郭団体について「ゼロベースで見直すことが必要」
と表明しているのだが、現時点で「ひょうご埠頭」や「新西宮ヨットハーバー」について、
特に見直しは行っていない。
なので、これをもって「港湾利権の闇を暴いたヒーロー」となるのはおかしい。
例えば、外部監査によって不正が明らかになった企業の社長に対して、
「不正が判明したのは社長の手柄だ!」と称賛するようなものだ。
もっと言ってしまうと、本当にこれで闇組織が暗躍する港湾利権にメスが入ったというのなら、
県職員が怪文書を作ってどうこうする以前に、「よくも外部監査で余計な問題を指摘してくれたな」
として、その後も特に港湾関係を締め付けるような施策は行っていない知事ではなく、
監査を行った公認会計士やその家族などに対して嫌がらせが行われないとおかしい。
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