遅れに遅れた「紅こうじ」被害の対応 小林製薬は把握から2カ月超も公表せず
小林製薬が扱った「紅こうじ」のサプリメントを巡る問題は、複数の死亡者が出る事態に至った。
同社が外部から健康被害の危惧を指摘されたのが1月。しかし問題の公表や自主回収に動いたのは2カ月余りたってからだった。
後手があらわになった今回の問題。防ぐ術(すべ)はなかったのか。食の安全を守るために何が必要なのか。
◆対応しない間に、健康被害が拡大した恐れ
「健康被害事例が多数あり、死亡との因果関係が疑われる事例が2例報告されている。これらの食品を購入し手元にある場合は、絶対食べないように」
27日、小林製薬の三つの製品について回収を命じた大阪市の担当者は会見でこう呼びかけた。
同社に寄せられる被害相談は日に日に増え、3000件を超えた。
今回は後手の対応が鮮明となっている。小林製薬には1月中旬、医師から「紅こうじサプリとの関連が疑われる症状で入院した患者がいる」と連絡があった。
その後も同様の相談が相次いだが、同社が公表と自主回収に踏み切ったのは今月22日になってからだった。
この間、2カ月余り。サプリの摂取を続けていた人もおり、健康被害が拡大した恐れがある。
2月に腎疾患で死亡した人は3年前からサプリを定期購入し、直前までサプリの摂取を続けていたとみられている。
◆食品メーカーなど52社にも供給 一部からカビ由来の物質を検出
渦中の「紅こうじ」は、米などの穀類にカビの一種の紅こうじ菌を繁殖させて作られる。
鮮やかな紅色が特徴で、沖縄の「豆腐よう」や中国の紹興酒などの伝統食品に使われてきた。
小林製薬は公表までの2カ月余り、健康被害の原因を調べたものの、特定することはできなかった。
一部のサプリからは、想定とは異なるカビ由来の物質が検出されており、被害との関係を調べている。
◆株価はストップ安…業績への影響は?
後手の対応は消費者の不安を増幅するほか、企業経営に打撃を及ぼす。
その一つが回収コストだ。小林製薬は、自社製品や原料の供給先で自主回収にかかる費用を18億円と見積もる。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/31774...
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