韓国最高裁(大法院)で日立造船の敗訴が確定した元徴用工訴訟で、同社が裁判所に預けていた供託金を原告側が20日にソウル中央地裁から受け取った。
原告側の代理人弁護士が明らかにした。元徴用工訴訟を巡り、敗訴した日本企業の資金が原告側に渡るのは初めて。
韓国最高裁は2023年12月、同社に対し元徴用工の男性に5000万ウォン(約560万円)の賠償を命じた。
原告は1月に供託金の差し押さえを申請し、手続きが進められていた。男性は係争中に死亡したため、遺族が受け取った。
日立造船は19年、ソウル高裁の控訴審で敗訴した際、韓国にある自社資産の強制執行を防ぐために約6000万ウォンを裁判所に預けていた。
原告側は20日、「賠償が事実上、日本企業によって行われた点に意味がある」とコメントした。
日本政府は1965年の日韓請求権協定で「元徴用工らに対する賠償問題は解決済み」としてきた。
22年に発足した尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は今後、韓国政府傘下の財団が賠償を肩代わりする解決案で対応する方針を決めている。
日本製鉄などが敗訴した他の訴訟では、原告は財団から賠償相当額を受け取る。
このため、今回の供託金受け取りが日韓関係に与える影響は限定的とみられる。
林芳正官房長官は20日の記者会見で、供託金が原告側に渡ったことについて、
「(65年の)日韓請求権協定に明らかに反する判決に基づき、日本企業に不当な不利益を負わせるもので、極めて遺憾だ」と非難した。
一方、「本件は供託金が裁判所に納められていた点で、特殊であり、同種の事案の中で他に例がないものだ」とも語った。
https://mainichi.jp/articles/20240220/k00/00m/030/...
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