COVID-19 に関する陰謀信念がもたらす感染防止政策の否定と感染リスク行動:
感染リスク軽視の媒介的影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては多くの陰謀論が存在する。COVID-19 の陰謀論を信
奉することで,感染リスクを軽視する認知を高め,個人としても感染リスク行動を取るようになるとともに,
政府による感染防止政策を支持しなくなることが予測される。欧米ではこうした社会心理過程が指摘されて
おり,本研究では日本でも同様の過程が見られるかを検討していく。研究 1 では,2021 年 1 月に質問票調
査を実施し,構造方程式モデリングによる分析を行った。その結果,仮説どおりに「COVID-19 に関する陰
謀論を信奉している人ほど,感染リスク軽視を通じて,個人として感染リスク行動を行うとともに,政府が
感染対策政策を行うことを支持しない」と仮定したモデルの妥当性が確認された。次に研究 2 では,研究 1
の調査回答者に対して,2022 年 1 月に縦断調査を実施した。その結果,SEM により影響過程モデルが同様
であることを確認した。また,縦断データに対する同時効果モデル及び交差遅延モデルの分析結果から仮説
の因果は妥当性が高いことが示された。以上の結果は,COVID-19 の陰謀論を信奉することが,COVID-19
のリスク軽視をもたらし,個人や政府の感染症対策を阻害する影響がある可能性を示唆している。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjesp/62/2/62_si5-4/_p...
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