能登半島地震の発生から2週間が過ぎても、住宅被害の全容は今なお掴めていない。
おびただしい数の家屋が倒壊した珠洲・輪島両市の被害状況が把握しきれず、いまだ「多数」のままだからだ。
珠洲・輪島両市を除いた住宅被害は15日時点で、少なくとも1万9183棟。両市では仮設住宅の建設が進み、15日は穴水町で15戸、能登町で66戸の仮設住宅を着工した。
県内6カ所で計247戸を建設する計画だが、完成までには1カ月を要する。穴水町の全壊・半壊・一部破損は合わせて1000棟。
能登町は全壊だけで352棟と仮設住宅の供給は、まだまだニーズに追いつかない状況である。
このもどかしさに、ネット上では大阪・関西万博の開催を中止し、会場整備のリソースを震災復興に回すべきとの意見が強まるばかり。
例えば「ムダの象徴」である木造の大屋根(リング)だ。建築エコノミストの森山高至氏の試算によると、リングに使う木材の量は2.4万立方メートル。
災害時の木造仮設住宅約4000戸分に匹敵するという。
「東日本大震災でもプレハブ製の供給不足から、木造の仮設住宅が活用されました。能登の現状では、まず仮設住宅の迅速な整備が必要ですが、この先、仮設暮らしの長期化も予想されます。
同一規格で不便なプレハブ住宅よりも、居住者の生活スタイルに応じた仮設住宅の建設も検討に値します。
木造なら被災地の工務店などへの仕事に直接結び付く。万博リングの大量の木材を仮設住宅に供給すれば、被災地の経済復興の一助となるのです」(森山高至氏)
■汚名返上のチャンス
百歩譲って万博を中止せずとも、震災復興に寄与するアイデアはある。
「リングを一周つなげず、点線のようにして間引きすれば、使用する木材の量は半減できます。
パビリオンを丸く囲む円形広場という空間デザインの意図は十分に残り、被災地に仮設住宅2000戸分の木材を回せます。
大阪府の吉村知事が『リング半減』『復興を支援する万博』を打ち出せば、ムダな不人気万博の汚名も返上できるはずです」(森山高至氏)
円形の屋根より被災地に屋根を――。あとは吉村知事の腹一つだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/33476...
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