◆全固体電池に優位性はあるか
リチウムイオンバッテリーの発展により、EV(電気自動車)には全固体電池が「必要なくなるかもしれない」。
メルセデス・ベンツの最高技術責任者(CTO)であるマルクス・シェーファー氏によれば、リチウムイオンバッテリーのエネルギー密度は「予想外」に向上しており、
コストとエネルギー密度の点で全固体電池と「拮抗」する可能性があるという。
全固体電池は、従来のバッテリーよりもエネルギー密度が高く、コストダウンにつながるということでEVの次なるブレークスルーとして長い間注目されてきた。
しかし、シェーファー氏は「多くの人々が従来のセルを改良し、非常に優れたものにしてきた」ため、「コストやエネルギーで大きな優位性はない」と見ているという。
全固体電池には安全上の利点があることを認めたうえで、リチウム技術にも発展が期待されているとした。
どちらも負けず劣らずで、全固体電池はもはや「大きなブレークスルー」ではない。
シェーファー氏によると、メルセデス・ベンツは米国と韓国で全固体電池の新興企業に投資しており、現在も技術発展を興味深く見守っているという。
しかし、普及の可能性についての「少し前の非常に楽観的な予測」は、「自動運転の予測を少し思い起こさせる」と述べた。
自動運転技術の開発の遅れにより、業界では普及予測が後ろ倒しされたことを指している。
同氏の発言は、2028年頃の量産開始を目指す日産やトヨタの前向きな姿勢とは相反するものだ。
両社は長期的には小型で安価、エネルギー密度の高い全固体電池が、EV技術におけるブレークスルーになると期待している。
また、シェーファー氏は充電の高速化に伴いバッテリーを小型化するというアプローチにも否定的な姿勢を見せた。
最悪のシナリオを考える消費者の間では、航続距離不安がいまだに払拭できていないためだ。
特に欧州では、バカンス休暇で長距離移動をする人が多く、航続距離が短いEVは購入時のネックとなる。
「彼らは毎年1回、(長い航続距離を必要とする)旅行をすることを考えていますが、これは合理的とは言えません。
冬のスキー旅行や夏のイタリアへのドライブのことしか考えていないのです」と語った。
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