会場整備費が当初の1.9倍に上振れした2025年大阪・関西万博に関し、27日の参院予算委員会では、
パビリオン「日本館」の事業費が別に必要となることが判明するなど、費用の膨張が問題となった。
審議中の2023年度補正予算案には万博費用の一部として750億円が計上されており、与野党から計画のずさんさに批判が相次ぐ。
政府は費用の総額を明示せず、コスト管理の責任の所在は曖昧なまま。今後、費用がさらに増大する懸念も拭えない。
◆「ツケが国民に回されようとしている」
「政府と維新の(大阪の)知事や市長、(日本国際博覧会)協会の見通しの甘さが大噴出し、そのツケが国民に回されようとしている」。
立憲民主党の辻元清美氏は参院予算委でこう指摘し、開催に疑問を呈した。
辻元氏は、国が負担する費用が会場整備費2350億円の3分の1の783億円だけでなく、日本館の事業費360億円や警備費など計約840億円もあると指摘。
「2350億円以外はかからないような発言をしていた。実態をごまかすためか」とただすと、岸田文雄首相は「ごまかす意図はない」と釈明に追われた。
首相は「国費の負担について合理化努力を続けていかなければならない」と繰り返し答弁。
総費用は、精査中であるとして説明を避けて「できるだけ分かりやすく、全体像を示せるよう努力する」と述べるにとどめた。
◆「当初の計画が相当ずさんだったのでは」
万博に対しては、野党だけでなく、与党からも懸念が示されている。
首相らは費用が増える理由に資材費や人件費の高騰を挙げているが、設計に問題があったと言わざるを得ない追加費用が発覚しているためだ。
公明党の伊佐進一氏は21日の衆院予算委で、日よけやトイレなどの増設を名目に追加費用が計上されていると問題視。
「当初の計画が相当ずさんだったのではないか。国、大阪府・市も責任逃れはできない。国は管理監督責任を果たしているのか」と断じた。
万博は30日に開幕まで500日となるが、参加国が自前で建設するパビリオンの着工は遅れており、開幕までに全て完成できるかが危ぶまれている。
パビリオン整備の遅れを受け、協会は建設を代行して費用を一時的に肩代わりする方針を示しており、さらに追加費用が生じる恐れもある。
共同通信の11月の世論調査では、万博の開催を「不要」とする回答が68.6%に達するなど、国民が歓迎しているとは言い難い。
大阪の行政に詳しい滋賀県立大の丸山真央教授(社会学)は「国民が物価高で苦しむ中、万博開催の優先度は決して高いとは言えない。
万博に多額の税金が使われることは、そもそも理解を得られにくい」と話した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/29258...
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