イスラエル軍からの勧告に従ってパレスチナ自治区ガザ地区の北部から南部へ退避したパレスチナ人住民が、退避区域外でイスラエルの空爆を受けて死亡している。
ガザ北部の住民は、イスラエル軍からの電話やショートメール、ビラで南へ向かうよう指示され、避難すれば安全だと考えた。
イスラエル国防軍は13日の勧告で、ガザ北部の市民に対して「自分自身と家族の安全のため」、ワディ・ガザ(ガザ渓谷)南部に向かうよう指示。ガザ市内で大規模作戦を実施するにあたり、民間人に危害を加えないよう最大限努力すると強調した。
しかし退避勧告に従い、安全を求めて自宅を離れたパレスチナ人の中には、退避区域外でイスラエルの空爆によって殺害された人たちもいた。
この現実は、退避区域の設定やイスラエル軍からの警告では、ガザ地区の住民の安全が保証されない実態を見せつけた。人口が密集するガザ地区で、イスラエルの爆撃から逃れられる安全な場所は存在しない。
アーエド・アルアジャミさんとおいのラジさん(32)は13日未明、イスラエル軍からの電話で即刻南へ向かうよう指示されたという。ラジさんがCNNに語ったところによると、指示に従って退避区画の南へ無事脱出したにもかかわらず、アーエドさん一家は翌日、イスラエルの空爆によって殺害された。
「全員南へ行け。家族全員だ。持ち物を全部持ってそちらへ向かえ」「どの道路でもいい」「できるだけ早くしろ。時間がない」。イスラエル軍からそう促され、アーエドさんは日の出までに家族や親類と共に南へ向けて出発。ワディ・ガザから約13キロ南部にある退避区域外の町デイルアルバラで、友人宅に身を寄せた。
イスラエルは翌日、デイルアルバラを空爆し、アーエドさんの家族が滞在していた建物の一部を破壊した。この空爆でアーエドさんと、子ども7人を含む家族12人が亡くなった。
近くにある別の建物に滞在していたおいのラジさんは、犠牲者の中におじの一家がいると電話で告げられ、現場に駆け付けた。
「破壊はすさまじかった」とラジさんは振り返る。「私たちは爆発に直撃された人たちを掘り起こし始めた。まだ生きている人もいた。弾薬の臭いがとても強く、どこも粉塵(ふんじん)まみれだった」
「みんなが、これでもう安全だと思い、この地域では何も起こらないと思っていた」「危険にさらされないよう命令に従っても、どこにいようと危険が迫ってくる」
13日以来、推定50万人のパレスチナ人がガザ北部から南部へ退避した。残る人たちの多くは南へ向かうことができず、ガザ北部で身動きできない状況にある。
https://www.cnn.co.jp/world/35210343.htm...
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