パレスチナ自治区ガザ地区の状況が急激に悪化している。何万人ものパレスチナ人がイスラエル軍の激しい空爆や予想される地上侵攻から逃れようとする中で、飲料水や食料が不足して深刻な状態に陥っている。
イスラエル国防軍は15日、これまでに少なくとも1400人がイスラム組織ハマスの攻撃によって殺害され、多数が人質に取られたとCNNに語った。米国のバイデン大統領は「ホロコースト以来最悪のユダヤ人大虐殺」と形容した。
長年の衝突がエスカレートして地域全体に波及する危険が高まる中、米国防総省は、イランやイランを後ろ盾とする勢力に対する抑止力として、空母打撃群と戦闘機部隊を同地域に派遣するよう命じた。
国連のグテーレス事務総長は15日に発表した声明で、中東情勢について「底知れぬ深淵(しんえん)の瀬戸際にある」と形容。「ハマスは即刻、人質を無条件で解放しなければならない。イスラエルはガザ市民のための迅速かつ妨げのない人道物資と従事者による支援を認めなければならない」と述べ、イスラエルとハマスの双方に人道的な対応を訴えた。
ローマ教皇フランシスコも同日、ガザの人道回廊設置とハマスによる人質の解放を呼びかけた。
破壊された道路を通って南へ避難するガザ住民に残された時間は少なくなっている。
ガザは360平方キロほどの面積に200万人以上が暮らす世界有数の人口密集地。イスラエルはその半分以上を占める北部の住民に対して避難を指示した。住民は、既に同地区内で避難していた人たちも含め、多くの家族がさらに狭い地域に追い詰められることになる。
市民は車やタクシー、トラック、ロバに引かせた貨車にすし詰めになり、道路はスーツケースやマットレスを積んだ車で大混雑している。ほかにどうしようもない人は、持てる限りの物を持って歩いていた。
イスラエル軍の報道官は15日、「我々は民間人が同地を離れたことを見届けた後に、大規模軍事作戦を開始する」と強調した。
パレスチナ保健省によると、これまでに少なくとも2670人がイスラエルの空爆によって殺害され、9600人が負傷した。ガザの死者は過去8日で、2014年に起きたガザとイスラエルの衝突による51日間の死者数を超えた。
世界保健機関(WHO)カイロ支部の当局者がCNNに語ったところによると、ガザでこの1週間に殺害された人の60%は女性と子どもだった。
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