訪日外国人に人気の高い観光地の一つである富士山では、新型コロナウイルス禍後の観光客の急増で、自然環境などに悪影響が及ぶ観光公害(オーバーツーリズム)が深刻化している。環境への負担を減らすため、山梨県が検討してきた登山鉄道構想が再び動き出した。
登山シーズンの最終週だった9日、5合目では、悪天候にもかかわらず大型バスが行き来し、観光客と頂上を目指す登山客であふれかえっていた。来訪客が捨てていくごみを回収する頻度が増え、トイレの処理能力も追い付いていないという。
訪日外国人に人気の高い観光地の一つである富士山では、新型コロナウイルス禍後の観光客の急増で、自然環境などに悪影響が及ぶ観光公害(オーバーツーリズム)が深刻化している。環境への負担を減らすため、山梨県が検討してきた登山鉄道構想が再び動き出した。
登山シーズンの最終週だった9日、5合目では、悪天候にもかかわらず大型バスが行き来し、観光客と頂上を目指す登山客であふれかえっていた。来訪客が捨てていくごみを回収する頻度が増え、トイレの処理能力も追い付いていないという。
来訪者の急増に伴い、5合目付近の二酸化炭素(CO2)の排出量も増加が続いている。1994年に導入され、毎年夏季に実施されているマイカーの通行規制により、5合目まで走行する乗用車の数は減少した。一方で、規制の対象外であるツアーバスなど大型車に利用が集中し、結果として排出量は増加傾向にある。
山梨県は、既存の有料自動車道の富士スバルライン上に次世代路面電車の線路の敷設を目指す。自動車やバスの通行を規制し、次世代型路面電車システム(LRT)に移行することで、CO2の排出量の大幅削減を見込んでいる。
国土交通省の2019年のデータによると、乗客1人を1キロメートル運ぶ際に排出されるCO2の量は、自家用自動車が130グラム、バスが57グラムであるのに対して、鉄道は17グラムと大幅に少ない。ブレダ応用科学大学で観光交通を研究するポール・ピータース教授は、LRTを稼働させるエネルギー源を再生可能エネルギーにすることが脱炭素化の鍵だと言う。
山梨県はグリーン水素の製造技術を活用するなど、LRTの走行に使われる電気に再生可能エネルギーを利用することを検討しており、再エネの割合について、「できるだけ100%に近づけるように考えていきたい」と和泉氏は話す。
脱炭素化に加えて、山梨県は、富士山を訪れるインバウンドの収益化にも注力する。現在は、入山料として「富士山保全協力金」を任意で1人1000円を徴収している。検討されているLRTの運賃は10倍の往復1万円だ。
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